嘘デレ

「ツンに当たる部分が嘘ということは、ツンツンしているときが演技で実はデレデレ」かと思ったら実は「デレデレしているのは嘘で内心ドロドログチャグチャ」なお話でした。



この設定により脳内彼女伝統の(私は初作品ですが)強気っ娘に罵詈雑言を囁かれながら搾り取られるシチュエーションに、嘘をつく=裏切りという嗜虐心くすぐられるポイントが加わっています。
特定の嗜好をお持ちの方は脳漿をぶちまけながらも歓喜する作品に仕上がっていることでしょう。



と言ってしまいましたが、実際にプレイしてみるとシナリオ展開に引きずられエロシーンの内容も軌道修正されたことに気づきます。
既にレビューされている方々が言われているように、それまで徹底的に主人公へ玩具のような扱いをはたらいてきたヒロインたちが、ある時を境にして受身にまわりエッチを懇願してくるようになっています。
押さえつけられてきた性欲の開放感にひたれる、攻めのテキストバリエーションも見られるといった利点はある反面、期待していたものと違うという戸惑いを覚えるプレイヤーも出てくることでしょう。



しかし、この作品のコンセプト「嘘」と「デレ」に焦点を当てて見るとエロシーンの作風は全く関係がない。
むしろプレイヤーのメーカーへの期待の押し付けになってしまっているのではないでしょうか?
そういった意味ではエロシーンに比重を置いた抜きから、テーマに重きをおいた作品にシフトしたと言えるのではないかと思います。
強気っ娘に罵詈雑言を囁かれながら搾り取られるゲームは多くありますが、嘘とデレを組み合わせたお話は滅多にありません。
私はこの作品の共通部から個別冒頭部の斬新さにも、ヒロインのスタンス変化以降の戸惑いっぷりにも面白みを見出せました。



ヒロインごとに単体で見ていくと、一純はそれまで主人公にしてしまったことを後悔しつつも、すぐには素直になれずエロシーンが相変わらず強気な所が可愛いし。
美優は援交疑惑をかけられながらも、それを逆手にとって主人公の独占欲を刺激する知的なエロ。
あれほど主人公をペット化しようと画策していた光奈がウェディングドレスで「お嫁さん○○○にぶちこんで一生専用〜に」なんて豹変具合は抜きゲらしさを感じました。


しかし、特筆すべきはとまりでしょう。主人公に対して偽り近づいた理由が財産や所有欲だった他ヒロインとは一線を画し、その感情の方向性も正反対を向いています。
衝撃的な設定が用意されているのもとまりだけですし優遇キャラと言ってもいいでしょう。わたしはとまりが大好きです。


また、西田さんの一部オタ批判もおもしろかった。銭ゲバでも貧乏ゆえのごうつくでも上から目線でも、それは人の過去の積み重ね。
こうあってほしいという自分の欲求を「期待」という言葉でラッピングして押し付けてませんか?
期待と違うから裏切られたと思い、そこでその人との関係を諦めてしまうのですか?
この指摘が作品内にあったことに感謝します。


あと1点挙げさせてもらえば演出的作用の2ndOPですが、これは久々に意味あるものでした。
ヒロインたちが仮面を被っている中の1st、本性を現したときの2ndと使い分けた理由が明確でしたが、挿入タイミングが難しく最大限に機能したかは判断つきにくいところです。





終始ダンボールに入っている「箱入り娘」を登場させたことがこの作品の最大の功績・・・だとは思いたくないですが。
ダンボールヒロイン式子大好きだ!